Shopifyでインボイス(適格請求書)を発行する方法
Shopifyでインボイス(適格請求書)は発行できますか?
Shopifyだけでは発行できません。Shopifyのヘルプには適格請求書を発行する設定の記載がなく、日本の税金に関するページが扱っているのも内税価格で、請求書ではありません。Shopifyの注文から適格請求書を交付するには、適格請求書発行事業者の登録を受けたうえで、国税庁が示す記載事項を、自分で編集したShopify Order Printerのテンプレートか、請求書アプリで印刷します。
注: このページのShopifyの設定と表示名はShopifyのヘルプで、税のルールは国税庁とe-Govの消費税法で、2026年10月14日に確認しました。
インボイス制度は2023年10月1日に始まりました。事業者のお客様(買手)が支払った消費税を差し引く(仕入税額控除)には、原則として、登録を受けた売手から交付された適格請求書を帳簿とともに保存する必要があります(国税庁:インボイス制度について)。適格請求書を交付できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者だけです。登録の申請はe-Taxまたは郵送で行い(国税庁:登録の申請)、税務署から登録番号が通知されます。登録後は、課税売上高が1,000万円以下でも消費税の申告が必要です(国税庁の英語版案内(PDF)、2026年4月改訂)。
Shopifyの日本の税金に関するページには、お客様に税金を請求するのに登録番号は必要ないこと、日本のマーチャントは内税価格を使用する必要があることが書かれています(Shopify:日本の税金)。正しい税金を請求することと、正しい書類を渡すことは別の作業で、Shopifyの設定が担うのは前者です。
適格請求書(インボイス)の記載事項は何ですか?
適格請求書には6つの事項を記載します。売手の氏名・名称と登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨を含む)、税率ごとの合計額と適用税率、税率ごとの消費税額、そして買手の氏名・名称です。国税庁がこれらを示しており、消費税法第57条の4第1項に定められています。
| # | 記載事項 | 法令・国税庁の表記 | Shopifyの注文では |
|---|---|---|---|
| 1 | 売手の氏名・名称と登録番号 | 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 | 事業者名と、「T」に続く13桁の数字 |
| 2 | 取引の日付 | 取引年月日 | 販売した日。一定期間分をまとめた請求書なら、その期間でも可 |
| 3 | 販売した内容(軽減税率対象品目の明示) | 取引内容(軽減税率の対象品目である旨) | 明細行。食品には印を付ける |
| 4 | 税率ごとの合計額(税込・税抜のどちらでも可)と適用税率 | 税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率 | 8%の合計と10%の合計 |
| 5 | 税率ごとの消費税額 | 税率ごとに区分した消費税額等 | 8%の合計に対する税額と、10%の合計に対する税額 |
| 6 | 買手の氏名・名称 | 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 | 宛名 |
出典:国税庁:インボイス制度について、消費税法第57条の4(2026年10月14日確認)
書類の名称は問いません。国税庁は「請求書に限らず、所定の事項が記載された書類であれば、領収書や納品書など書類の名称を問わず、インボイスとなります」と説明しています。注意したい点が3つあります。
- 登録番号は、「T」に続く13桁の数字です。法人の場合は「T」+法人番号で、個人事業者には別の13桁の番号が割り当てられ、マイナンバーは使われません。半角・全角のどちらでも構いません(国税庁 インボイスQ&A 問18)。
- 軽減税率対象品目の明示は、各品目に※などの記号を付けてその意味を注記する(「※印は軽減税率対象商品」)、税率ごとに品目を分けて記載する、税率ごとに請求書を分けて交付する、のいずれかの方法でできます(国税庁 インボイスQ&A 問73)。
- 税率ごとの消費税額は、通常の適格請求書では税率だけでなく、円単位の金額で記載します。
宛名を省略できる領収書(適格簡易請求書)とは?
領収書の宛名を省略できるのは、それが適格簡易請求書である場合です。適格簡易請求書を交付できるのは一部の事業に限られます。小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、不特定かつ多数の者に対する駐車場業、そしてこれらに準じる、不特定かつ多数の者に販売等を行う事業です。国税庁は、小売業の販売は「その形態を問わず」対象になるとしています(国税庁 インボイスQ&A 問24)。
適格簡易請求書と通常の適格請求書の違いは2点です(国税庁 インボイスQ&A 問58)。
- 買手の氏名・名称(宛名)を省略できる。
- 税率ごとの消費税額と適用税率は、両方ではなく、どちらか一方を記載すればよい。
それ以外の事項、つまり売手の氏名・名称と登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率対象品目の明示を含む)、税率ごとの合計額は省略できません。卸売業は対象に含まれないため、卸売業者は通常の適格請求書を交付します。また国税庁は、法令上の記載事項ではないものの、宛名がないことを取引先が記載不備と誤解しないよう、簡易インボイスである旨を余白に記載することも一案だとしています(国税庁:インボイス制度について)。自分のショップが適格簡易請求書を交付できるかどうかは、税理士に確認してください。
インボイスの消費税額の端数処理はどうすればよいですか?
適格請求書の消費税額の端数処理は、1つの適格請求書につき、税率ごとに1回です。切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれでも構いませんが、品目ごとに消費税額を計算して端数処理し、それを合計する方法は認められません(国税庁 インボイスQ&A 問57、消費税法施行令第70条の10に基づく)。
国税庁の例では、1か月分の請求書に、10%対象の商品が60,000円、8%対象の商品が40,000円(いずれも税込)あります。消費税額は、60,000円×10/110の端数を切り捨てて5,454円、40,000円×8/108の端数を切り捨てて2,962円です。品目ごとに端数処理してから合計すると別の金額になることがあり、同じ回答はその方法を認めていません。
お客様に求められたらインボイスを交付する義務はありますか?
登録を受けている場合は、あります。適格請求書発行事業者は、課税事業者である買手から求められたときは適格請求書を交付し、その写しを保存しなければなりません(消費税法第57条の4、国税庁 インボイスQ&A 問23)。この義務は、商品の税率にかかわらず適用されます。
- 紙でもPDFでも:適格請求書は、紙の代わりに電子データで提供できます。たとえばメールやウェブサイトを通じた提供です(国税庁 インボイスQ&A 問31)。
- 交付義務の免除:交付義務が免除されるのは、3万円未満の公共交通機関の運賃、3万円未満の自動販売機による販売、卸売市場や農協・漁協などの協同組合を通じた一定の販売、郵便切手類で対価を支払う郵便サービスという、限られた取引だけです。ネットショップの販売は含まれません。
- 写しの保存:交付した適格請求書の写し(データで提供した場合はそのデータ)は、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します(国税庁 インボイスQ&A 問79)。
- 記載の誤り:適格請求書の記載事項に誤りがあった場合は、買手に修正した適格請求書を交付します(国税庁 インボイスQ&A 問32)。
- 返金と値引き:課税事業者への販売について返金や値引きをしたときは、法律上、適格返還請求書の交付が必要です。ただし、返金する額が税込1万円未満の場合は不要です(国税庁 インボイスQ&A 問27)。
税法上の交付義務は、事業者である買手に対するものです。消費者も民法に基づいて領収書を求めることができ、これについては日本のお客様向けの領収書のガイドで説明しています。
事業者のお客様が適格請求書を求めるのは、仕入税額控除がそれにかかっているからです。適格請求書がなければ、買手は原則として、支払った消費税を控除できません(国税庁:インボイス制度について)。登録を受けていない売手からの仕入れについては、経過措置により一定割合を控除できますが、その割合は段階的に下がります。令和8年度(2026年度)税制改正で、この経過措置は2031年9月末まで延長されました(国税庁:令和8年度税制改正)。
- インボイス制度の開始。80%を控除できる
- 70%を控除できる
この日以後に開始する課税期間からは、同じ売手からの課税仕入れの合計額(税込み)が1年(事業年度)で1億円を超える場合、超えた部分は控除できません。
- 50%を控除できる
- 30%を控除できる
- 適格請求書がなければ控除できない
出典: 国税庁(2026年10月14日確認)
Shopify純正のツールでは何を印刷できますか?
Shopify純正のツールでも注文から書類を印刷できますが、Shopifyのヘルプには、自分で手を加えずに適格請求書の記載事項を印刷できるツールの記載はありません。最も近いのは、Shopifyが提供する無料アプリのShopify Order Printerで、HTML、CSS、Liquidで自分で書いたテンプレートから印刷します。
- Shopify Order Printer:テンプレートは最大15種類作成でき、一度に最大50件の注文を印刷できます。注文を開いてMore actions(その他の操作)→ Print with Order Printer(Order Printerで印刷)を選ぶか、Orders(注文)の一覧で複数の注文を選択します。ShopifyのヘルプではPDFはブラウザの印刷機能で保存するよう案内されています(Shopify:各種書類を印刷する、テンプレートの作成)。Liquidでは、注文ごと・明細行ごとの税金行を、税率と税額とともに参照できます(Liquidリファレンス)。登録番号、※印、税率ごとの合計、税率ごとに1回の端数処理は、自分で書いて確認する必要があります。
- Shopifyの税設定:各商品の税率はここで決まります。食品を8%にするには商品の優先適用が必要で、その方法は8%の軽減税率を設定するガイドで説明しています。請求書に印刷できるのは、Shopifyが請求した税率だけです。
- Shopify POS:対面販売では、Shopify POSがレジで領収書を印刷するか、メールまたはテキストメッセージで送信します(Shopify:POSの領収書)。事業者のお客様向けに使う前に、上の6つの記載事項と見比べてください。
- VAT請求書:Shopifyが自動で作成する請求書は、欧州連合またはイギリスに配送する注文専用です(Shopify:VAT請求書)。そのため、日本での販売には使えません。
Liquidを書けて、発行する請求書が月に数件であれば、Shopify Order Printerのテンプレートで十分で、費用もかかりません。
アプリで適格請求書を印刷するにはどうすればよいですか?
請求書アプリを使えば、テンプレートのコードを書かずに、Shopifyの注文ごとに6つの記載事項を印刷できます。どのアプリを選ぶ場合も、お客様に渡す前に、見本を国税庁の記載事項と見比べて確認してください。
当社が開発するOriも、そうしたアプリの1つです。Shopifyの請求先住所が日本のショップの場合:
- 登録番号は、設定 → 税・適格請求書で一度入力するだけです。
- 最初に選んだデザインから、登録番号、宛名、日付、明細(日本語のデザインでは軽減税率の行に※)、8%と10%それぞれの合計額と消費税額が印字されます。
- 消費税額は、選んだ端数処理の方法で、帳票ごとに税率ごとに1回計算します。
- 請求書・領収書・納品書に記載事項が印字されます。宛名のない領収書は、適格簡易請求書を交付できる事業だと設定してあれば、適格簡易請求書にできます。
- 発行したPDFはすべて保存書庫に保管され、再発行や無効化によるその後の版もすべて残ります。
- 帳票を訂正するには、無効化してから新しく発行します。新しい帳票には新しい番号が付きます(Oriの再発行・無効化・返金)。
各設定の使い方はOriでの日本の適格請求書で説明しています。
使う前に、次の制限を確認してください。
- Oriが確認するのは、登録番号の形式(「T」と13桁の数字)だけです。番号の照会はしないため、ご自身の番号は国税庁のサイトで検索してください(後述)。
- 各行の税率はShopifyのものです。Shopifyで食品が10%に設定されていれば、Oriの領収書も10%になります。
- Oriは適格返還請求書を発行しません。事業者である買手に1万円以上を返金する場合は、別の方法で適格返還請求書を交付する必要があります。
- 帳票のメール送信と、お客様による領収書のセルフ発行は有料プランの機能です(Oriのプラン)。
ヒント: すべての注文の帳票に日本の適格請求書の記載事項を印字するOriなら、登録番号と端数処理を一度設定するだけで、Shopifyの注文ページから請求書や領収書を発行できます。
インボイスの登録番号はどうやって確認しますか?
登録番号は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認できます。このサイトには、登録を受けたすべての事業者が登録番号とともに掲載されています。個人事業者の場合に公表されるのは、原則として氏名、登録番号、登録年月日です(国税庁の英語版案内(PDF))。
- 公表サイトを開きます。
- 「T」を除いた13桁の数字を入力します。
- 表示された名称が、請求書に印字している名称と同じか確かめます。
ご自身の番号は一度確認し、帳票に印字する事業者名を変えたときにも改めて確認してください。事業者のお客様も、請求書を受け取ったときに同じ方法であなたの番号を調べることがあります。
よくある質問
納品書はインボイスになりますか?
6つの記載事項がそろっていれば、納品書も適格請求書になります。国税庁は、書類の名称は問わないとしています。ショップによっては、商品に納品書を同梱し、請求書や領収書は求められたときに渡すこともあります。納品書にすでに記載事項がそろっていれば、その1枚を適格請求書とすることができます(国税庁:インボイス制度について)。
インボイス登録をしていない場合はどうなりますか?
登録していなければ適格請求書は交付できず、事業者のお客様が控除できるのは、上のタイムラインの割合だけです。登録すると課税事業者となり、消費税の申告が必要になります。免税事業者から登録した事業者には、2つの負担軽減措置があります。2026年9月30日を含む課税期間までの「2割特例」と、個人事業者の2027年分・2028年分の「3割特例」で、いずれも納付する税額を売上税額の一定割合とするものです(国税庁の英語版案内(PDF)、国税庁:令和8年度税制改正)。登録するかどうかは、税理士と相談して決めてください。
登録番号がなくても領収書は発行できますか?
できます。登録していない事業者も、登録番号のない通常の請求書や領収書をこれまでどおり交付できます。してはいけないのは、登録番号に似た番号や他人の登録番号を記載するなど、適格請求書と誤認されるおそれのある記載をすることです。これは罰則の対象で、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます(国税庁 インボイスQ&A 問26-2)。